Concept
童画が描かれた絵本や童話、
昔話は母から子へ、
子から孫へと
目と耳で伝えられてまいりました。
人が生まれて初めて体験する物語の世界。赤ちゃんが言葉を覚え、まわりとの繋がりを知り始めた時、現実ではない世界を舞台として紡がれた言葉と童画との出会い。
そこには当然、人々に囲まれて生きていく知恵や教えも埋め込まれていますが、
何よりも日常を超えた冒険や未知との出会いに満ち溢れています。親の世代から子の世代へと、その世界観を語り継ぎ、楽しむ、そのような時代が私たちの社会や家族のなかで長いあいだ続いてまいりました。
子どもの成長する姿
人間が自然のなかで生きてきた姿
もうひとつは動物の生命の在り方でしょう。
東子は義務教育を終えてすぐに小さな医院の看護師として自立します。病気やケガの子供達が笑顔になるようにと読んで聞かせた高原に住むという妖精の物語。
ファンタジー感溢れる童画の数々。多くの人たちからもっと作品を見たいと言われ、それならばと森のなかに使わなくなった古い蔵を利用した「世界で一番小さな童画館」を開設しました。そして大好きな野に咲く可憐な岨菜(そばな)の花の名前を付けました。それが「岨菜(そばな)童画館」です。
東子は看護師を卒業し、さぁこれからという時に不治の病に倒れ、わずか数年で皆に惜しまれながら永眠。今は童画館を見下ろす高台の上に眠っています。
それから約20年の休眠期間を経て、岨菜童画館は場所を変え、同じ八ヶ岳の南麓に当時の面影のまま蘇ることが出来ました。
東子はいくつになっても野山を駆け抜ける少女のようでした。
イメージはそう、ローマの休日のオードリー・ヘプバーンのような。オードリーの有名な言葉があります。
「過去へ遡りましょう。小さかったときに何が幸せだったかを探すの。私たちはみんな成長した子ども・・。」
東子が岨菜童画館に込めた「童心に返って心のお遊びいたしましょう」というメッセージとシンクロします。
参考:熱風2009/12小沢俊夫「昔話の語り口と動物の姿」・三浦佑之「笑われるアマテラス・援助するネズミ」